スカイウオークの思い出と山本譲司氏

昨日予定されていた生駒山スカイウオークが
雨の為中止、小雨決行とはなっていたが
昨日は小雨以上で冷たく寒い一日だった。
このイベントの準備をされていた方々のご苦労を
思うと、うらめしい雨である。
昨年は膝の故障のため参加できなかったので
今年はダイエットも兼ねて頑張って歩こうと思っていたのに・・・


この時期は決まって思い出すことがある。


初めて議員に当選した年のスカイウオークに
別段用事が会ったわけでもないのに
3人の新人議員(私を含めて)が参加しなかった。
そのことを後で こっぴどく酒井議員に怒られた。
「お前ら新人議員のくせに、大事な市の行事を簡単に休むな!」
と、えらい剣幕でどやされ、すっかり恐れ入った思い出がある。
この3人は毎年のスカイウオークのたびに思い出す。
今となってはなつかしい。


その酒井議員であるが保釈されて生駒に戻ってきてはいるが、
諸々の制約があり、
市議会のほうには今後も来られる予定が立たないという。


今は拘置所での規則正しい生活ですっかり健康になり
相変わらず意気盛んだという。


なんという強い人だろうか、筋金入りと言うか・・・


おりから議会では足湯事件に関連して新たな事実が発覚したことで、
先延ばしになっていた百条委員会が近々始まる
しばらく沈静していたが、また酒井氏が時の人となる。


「再犯知的障害者の更生」H20、5、6 毎日新聞より

法務省の統計上、知的障害者とされる「知能指数70未満」
の新規受刑者は、毎年全体の2割強を占める。
(06年は7500人)
服役中の知的障害者の約7割が再犯者で、
最も多い動機が生活苦。
出所後も福祉サポートが受けられず、刑務所に戻る人が多い。
いわば刑務所が触法障害者の社会的セーフティネットの役割だ。


そんな現状に疑問を突きつけたのが
山本譲司・元衆議院議員の「獄窓記」
ここには刑務作業が困難だったり、出所しても身寄りがない
という障害者の境遇が生々しく記されている。


この著書がきっかけとなって「再犯知的障害者の更生」が
大きく取上げられるようになったという。


昨日はスカイウオークが中止になったので、
一日中「獄想起」を読みふけっていた。
一言で言って「感動しました。」
こんな素晴らしい人(山本譲司さん)もいるなんて
世の中まだまだ捨てたもんではないなと、
すっかりうれしくなって気持ちが高ぶった。


彼は元民主党衆議院議員で、2期目のとき
公設秘書の給与を他の事務所経費に流用したことで
一年半の実刑を受けた。
控訴すれば執行猶予は間違いなかったと思われるのに
あえて贖罪の意識と好奇心らしきものもあって、
刑に服する道を選んだ。
予想以上の刑務所での厳しい生活に苦悩する、そして後悔。


刑務所での生活がここまで厳しいとは、
元婦警の私も知らなかった、
罪をあがなう場所であれば当然なのかもしれないが
ここまで、管理が必要なものかと思う。


山本氏は程なく一般の刑務所から
障害者ばかりを収監した刑務所に移り、
その人達をサポートする役割を与えられる。
もともと障害者福祉に造詣の深い人だったので、
たいそう熱心にお世話係に取り組むのであるが、
そこで触法障害者が司法と福祉の施策の谷間に
落ち込んでいる実態に気がつく。


彼と障害者とのエピソードは涙をさそう。
出所を目前にした30代の男性が山本氏に
出所後、再犯して戻ってくることをにおわす。
山本氏がたしなめると彼は言う。
「俺は人生の中で刑務所が一番暮らしやすかった、
ここは自由はないが不自由も無い、誕生日会やクリスマス会
もある、それに山本さんのような人が入浴や着替えの面倒を
みてくれる、こんな恵まれた生活は生まれて初めてだ。・・」
この人は手が不自由で身元引受人がない。


母親を殺害した出所目前の知的障害者
「あのね、僕がおうちでサッカーしているとき、お母さんが
お部屋で横になっていて、僕にうるさいって言ったんで
お母さんの頭を蹴っちゃったんだ、
そしたらお母さんが死んじゃって、僕びっくりしちゃったよ。」
「僕は友達いない、お母さんからいつも恥ずかしいから外に出るなって
言われてたから、話するのはお母さんだけだったよ。」
「おばさんの所に行くつもりだけど、僕のこと嫌いかもしれない」
彼なりに不安はあって夜になると壁に額を打ち付けているようで、
なるほどかれの額は赤くなっていた・・・


このほかにも自分が何をしたのか、
何でここにいるのか全く分からない認知症の高齢受刑者
排泄障害で山本氏がオムツや排泄の世話をする。


うつ病統合失調症など刑務所より
医療施設のほうが適切ではないかと思われるケース。
私はこのような人達が刑務所に収監されていたのが驚きだった。


そしてこれは刑務所全体にかかわることであるが、
あまりにも入所者が多すぎて過密状態になり、
環境が悪化しているということ、
さらに看守の数が少なくて入所者と事務的、管理的な対応しか
出来なくなっていること。


刑務所は懲罰的であるとともに、矯正、教育的機能も充実しなければ
再犯の繰り返しとなる。


山本氏は自らの刑務所体験から執筆活動、講演活動を通じて
社会に大きな一石を投じ、今までかえりみられる事のなかった
闇に光を当て、政府も対策に乗り出してきた。
彼の功績はあまりにも大きく、罪を償ってあまりある。


当時田中真紀子氏、辻本清美氏も同様の罪で議員辞職した
現在両氏とも政界復帰を果たしたが、山本譲司氏は相変わらず
障害者福祉の分野で頑張っている。
いつかは政界に復帰してもらってさらに大きな活躍をしてほしい。


山本譲司氏の精神は菩薩界レベルに当たるだろう。素晴らしい人。