無謀な人

今日久しぶりにまとまった雨が降って幾分涼しくなった。
連日の猛暑だっただけに、気持ちが和む雨模様である。


ツレが単車で気ままな一人旅に出てから一週間経つ、
行き先は北海道。
一週間前の朝早く家を出て、その日の夜遅くには北海道入り。
一体どれだけの強行軍なんだ。
きっと、ろくに休憩もとらず、
猛スピードでぶっ飛ばして行ったのだろう。無謀な事を・・


彼は体調が余り良くない、高血圧だし頚椎ヘルニアだし、
旅に出る前も片手が痺れると言っていた。
もっと体調が整ってから出発するように言っても
全然聞かない。


まだ元気のある今だから、今のうちに行っておきたいと言う。
この先、体が弱ったら行く機会がなくなるかもしれない、
そうしたら一生後悔が残るらしい。


決意が固いので、いくら止めても無駄。
したいようにしてもらうしかない。
これまでも単車で九州や四国を走り回っている、
よく長時間単車に乗り続けることができるもんだ。


私は後ろに乗っているだけでも、二時間以上は疲れてしまう。


でも車と違って単車は危険、すぐ死亡事故につながる。
とても滑りやすく、何度かひゃっとさせられた。


危険性をぶつぶつ言うと、「もう、俺のことはあきらめてくれ」
そして「死んだら蛍になって帰ってくるから、まちがって
つぶさないでくれ。」と縁起でもないことを言う。


この前四国に行く時は遺書までしたためてあった。
封筒には厳重に三箇所も割り印がしてあって、
何かあるまで絶対に開けるなと、何度も念押しして出て行った。


無事に帰ってきたので、もう見る必要も無いわと
遺書をほおって置いたら。「なんや、開けへんのか」
と見て欲しそうに言うので、それじゃあっていうことで
封筒をあけて文書を取り出して見てみると・・・


「まだまだ、死ぬかい。アホたれ!」って書いてあった。


無事に帰ってきたからいいようなものの、
本当の遺書になってしまったら、悲しい中でも笑っただろうな。


今回の北海道行きには遺書は書いてなかったみたいだ。


無謀でどうしようもないと思うけど、反面羨ましくもある。
男っていいなー。