震災ガレキ広域処理について

野田政権が宮城・岩手で発生した震災ガレキの広域処理
キャンペーンを一段と強力に推進し、受け入れに前向き
自治体が増えてきた。


この状況に私は心穏やかではない、
広域処理が適切な事だとは思えないのだ。


広域処理について疑問点がいくつもある、


阪神淡路大震災のガレキは2000万トン、
 東日本大震災のガレキは2300万トン。
 阪神大震災のときは兵庫県がほぼ全量を処理した。
 東北地方の面積は広大であり、被災面積当たりの
 ガレキの分量は阪神淡路大震災よりも相対的に
 少ないはず、なぜ東北地方で処理できないのか。


・宮城、岩手県の震災ガレキは1647万トン、
 両県の焼却炉をフル稼動させれば年間処理量
 500万トン余り。
 3年間あれば両県で大体処理できるのではないか。


・被災自治体のなかには地元処理を希望している所
 もある。ガレキ処理事業や施設の整備で、
 新たな雇用や国からの補助金が地元を活性化させる。

 例えば、岩手県陸前高田市の戸羽市長
 「市内にガレキ処理専門のプラントを作り、何倍もの
 スピードで処理する計画を県に相談したところ、
 現行法では手続きが煩雑であり、許可が出ても建設まで
 2年かかると門前払いされた。」



 岩手県岩清水町の伊達町長
 「現場からは納得できないことが多々ある。ガレキ処理
 もそうだ・・無理に早くかたずけなくても山にしておいて
 10年、20年かけてかたづけたほうが地元に金が落ち
 雇用も発生する。もともと使っていない土地がいっぱい
 あり、処理されなくても困らないのに、税金を青天井に
 使って全国に運び出す必要がどこにあるのか。」



 福島県南相馬市桜井市
 「ガレキは復興の貴重な資源。護岸工事に使いたいが不足
  しているので、宮城から運んできたいと相談したら、
  放射線量が不明だから動かせないと言ったのは官僚」


 岩手県久慈市
 「遠隔地の南方で処理するのはおかしい、地元で処理したい」


宮城県の担当者の話によれば・・・
 宮城県の震災ガレキ1443万トンのうち、広域処理分は
 344万トンで、石巻市以外はある程度県内で処理できる。
 石巻分も埋め立て用地が確保できれば処理が可能。

 沿岸部のかなりの防潮林・防災林が壊滅したので、
 その盛土として沢山のガレキを使いたい。

 仙台市はガレキ処理が前倒しで終わりそうなので、他の
 自治体分も受け入れ可能となってきた。

 県内にお金がおりたほうがいいので、県内で処理した方が
 いい。

 最終的に処分できないものについては、専用の処理施設が
 必要となってくるのでそのときは他市にもお願いしたい。



 これはテレビのインタビューに答えた県職員の話であるが
 どうみても積極的に広域処理を望んでいるようには見えな
 かった。
 

静岡県島田市 桜井市長に対する不信。


 島田市が先駆けてガレキ受け入れを始めたことによっても
 各自治体のガレキ広域処理に弾みがついた。
 年間5000トンのガレキ受け入れを表明しているが、桜井
 市長は産廃業界とつながりのある人物である。
産廃会社の前代表取締役
 そして、ガレキの受け入れを決めたことで島田市のお茶が
 風評被害にあっていることに触れ「ガレキの受け入れが各地
 で進めば風評被害もなくなる」として、ガレキの処理には
 全国的な取り組みが必要だという考えを示した。


 これは何を意図した発言だろうか、震災前は日本全国放射線
 量はどこも問題にはならなかった、しかし震災後は地域で
 かなり放射線量に差が出てきて、やはり汚染度の高い地域
 の食品は敬遠される。
 そこでそのばらつきを軽減する為に、(つまり汚染地域を拡散
 すれば差がなくなる)広域処理を進めるということではないか
 と勘ぐってしまうのだ。

 勿論 桜井市長は「一日の早く被災地からガレキを無くす
 ことが被災者の心のケアにつながる」とも発言されているが。


 ガレキの処理単価は阪神淡路の2〜3倍と高く、処理費用は
 全額国負担でガレキの受け入れとセットで震災復興特別交付金
 が自治体に交付される。
 そのうえ、膨大な輸送費を使って遠方まで運びだすのだ。

 
 ・ガレキの安全性について
 ガレキ受け入れについては各地で独自の基準を設けて安全
性を確保を模索する自治体も少なくない。
 関西広域連合でも焼却前の放射性セシウム濃度を1キロ当
 たり 100ベクレル以下と基準を設定している。
 しかし、岩手県宮城県の沿岸部市町村の災害廃棄物の
 放射能濃度測定結果 一覧を見てみると・・・
 岩手県自治体のうち3自治体は100ベクレル以上、
 宮城県11自治体では全ての自治体で100ベクレルを上
 回る廃棄物があった。


 勿論廃棄物の種類によっては100ベクレル以下のものも
 あるが、あの膨大なごちゃ混ぜのガレキを仕分けして
 運び出すのであろうか。


 しかも濃度測定はセシウム134と137だけで、毒性の
 高いプルトニウムストロンチウムは測定されていない。


ほかにもまだまだ疑問はある。
長くなりすぎるので一応ここまで。


生駒市は震災ガレキ受け入れに対して慎重な判断を示して
いるし、先ごろの奈良県知事の「使用済み核燃料中間貯蔵
施設の受け入れ検討する」という発言についても
山下市長は反対する緊急声明を公表した。


本当に時宜にかなった素晴らしい声明だと思う。


また、生駒市は若手職員の発案で福島県の子ども達30名
〜40名を生駒山麓公園ふれあいセンターに招待して、
野外活動を思い切り楽しんでもらう企画も立てられた。



これこそが真の被災地支援だと思う。
これを発案された若手職員も、採用された生駒市も本当に
立派なことで誇らしく思う。


それに対して知事は、生駒市奈良市福井県原発群から
100キロ県内にかかるのに安全協定締結も求めず、
使用済み核燃料中間貯蔵施設は受け入れ検討。


私には理解し難い。