天晴れな人

友人が亡くなって5日経ち
だんだん気持ちは落ち着きを取り戻しつつある。


夏川りみ」の「涙(なだ)そうそう」の歌が、
とっても今の心情に合うので、しょっちゅう口ずさんでいる。


前からいい歌だと思っていたが、今は歌詞の一つ一つが
身にしみ込むように伝わってくる。


「晴れ渡る日も雨の日も浮かぶあの笑顔
 思い出遠く色あせても
 面影探して 蘇る日は 涙そうそう


今も何かにつけて、彼女のことが思い出されるけど、
もう以前ほど涙は出なくなった。
一昨日のお葬式が心の中で一つの区切りになった。


そのお葬式は本当に心に残るものだった、
故人が生前にお葬式をプロデュースしていたのだ。
彼女はただ生きることに懸命に努力する姿を私達に見せて
くれていた、でもその一方でお別れ会の準備も考えていたのだ。
全く思いもよらないことだった。


会場の花の装飾も流される音楽も彼女の企画、
そして彼女の最後のメッセージが、これもまた彼女の指名で
Uさんによって読み上げられた。
その内容が、思いやりと優しさにあふれるものでUさんも
最後の方は涙で声が詰まってしまった。


そして私には何か楽しい思い出を語ってほしいという、
彼女の希望があったので、3分ほどの内容をスピーチ
したのであるが、もう最初から涙、涙で声は上ずり体は
震え やっとの思いで原稿を読み上げた。


他にも友人からの話が披露されたが、同じく涙、涙で
あった。


会場に流されたBGMは一曲として同じものはなく、
私達の年代が好む音楽ばかりで、私には特にサザンの
「つなみ」が印象に残っている。


彼女の最後のメッセージは素晴らしく、私はそのコピー
を手元においていて時折見返しては彼女を偲ぶ。


もう彼女に届くわけでもないと思いながらも、まだ通じる
携帯に、「今までありがとう、最後のメッセージ大切にするよ」
と感謝のメールを送信した。


余命宣告されたあとの「生きる努力」もすごかったけど、
こうしてお別れ会のプロデュースをして亡くなっていく彼女
の気遣いもすごくて、本当に彼女らしいというか「天晴れ」
な人というほかない。