大震災災害廃棄物の広域処理

山下市長が震災ガレキを生駒市では受け入れないと公表
したことが大きな反響をよんでいる。
メールやツイッターでは、歓迎する意見が数多く
寄せられている。


震災ガレキの広域処理がとかく美談としてマスコミで
取上げられ、受け入れ表明をした自治体が大きくクローズ
アップされて世間の風潮としても
被災地支援=ガレキ広域処理と受け取られる向きがある。


果たして本当にそうなんだろうか、素直にガレキ広域処理
が被災地支援に直結するとも思えない事情が幾つかある。


阪神淡路大震災では広域処理分は7パーセントであった。
 東日本大震災のガレキは当初よりも過大に見積もってい
 たことが分かり、総量は阪神淡路分と変わらず。
 にもかかわらず広域処理分は20パーセント。
 東日本大震災被災地の方が広大であり、単位面積当たり
 のガレキは少ないのに何故、阪神淡路の3倍量が広域処理
 となるのか。


・被災地処理であればトン当たり約2万円、広域処理では約
 5〜6万円。遠方への輸送料はコスト高。
 本来被災地支援に使うべきお金が、広域処理で消費される。


・現在宮城県岩手県で稼動している焼却処理施設33基。
 1日処理能力5066トン。広域処理分409万トン。
 現地で全て処理しても2,2年。
 既に処理された分を除けば、あと1年半ほどで処理可能。
 しかも更に焼却炉増設予定。これ以上広域処理が必要なの
 か。


・被災地では復興事業が進み、沿岸市街地のかさ上げ工事
 や破壊された防潮堤の修復にガレキを活用する必要が
 高くなってきた。今や使用する土不足が深刻な状況がある。


・被災地では失業問題が大きい。震災ガレキを当地で処理
 したりリサイクルする事業は雇用を生み出す。


市議会旬報6月号によれば全国市町村のうちおよそ1割の
自治体が震災がれき広域処理に積極的(受け入れもしくは
受け入れ検討)であるが、9割の自治体は消極的で
受け入れが全国的に積極的に行われているわけではない。


受け入れ表明をすると大きく取上げられるので、
なんとなく受け入れが主流のようなイメージだが、割合的
には少ない。


そしてこの市議会旬報では広域処理推進キャンペーンとし
て「みんなの力でガレキ処理ー受け入れ・処理への更なる
ご理解、ご協力をお願いします」というメッセージと共に、
無残な被災地の写真が掲載されている。


今年5月に撮られたもので、南三陸町立戸倉小学校の校庭
にうず高く積まれた震災ガレキの写真。
子ども達の学び舎がこんな酷い状態とは・・・
胸詰まる思いで見つめ、やはり広域処理が必要なのかと
思ったが、一方震災から1年以上たってほぼガレキは
仮置き場に移動されているはずなのに何故未だにこのような
状態なのか不思議に思ったので、現地の役場に電話した。


「小学校は廃校舎になっていて子供はいません、運動場がガレキ
仮置き場になっています。このガレキの山は98パーセント
リサイクルして地域内で有効活用します。」

これが真相、職員の答え。


なんら問題のない写真を掲載して、いかにも広域処理が必要
であるかのような心憎い演出。


この市議会旬報は全ての市会議員に配布されている、この
写真で心動かされる議会も多いことだろう。

これでまた広域処理に対して素直に理解する気持ちが失せていくのだ。